インドとポルトガルが出会った味──ポークビンダルをめぐる食の交差点

ポークビンダルは、インド西部ゴア州の郷土料理として知られる豚肉のスパイスカレーである。その起源は16世紀、ポルトガルの植民地支配にまでさかのぼる。当時、ポルトガルから持ち込まれた「ヴィンディ・ア・ルザ(vinha d’alhos)」と呼ばれるワインビネガーとニンニクで肉を漬け込む料理が、インドの豊かなスパイス文化と融合し、現在のポークビンダルへと進化した。

最大の特徴は、酸味・辛味・香りの三要素が絶妙に調和する味わいにある。ワインビネガーや酢による酸味が、チリやブラックペッパーの刺激的な辛さと交わり、ガーリックやクミン、クローブ、シナモンなどのホールスパイスが奥行きを加える。豚肉は数時間マリネされた後に煮込まれ、柔らかくジューシーな仕上がりになる。

ポークビンダルは、インドでも特にキリスト教徒の多いゴア地方で広く食べられており、ライスとの相性はもちろん、チャパティやピクルスを添えて楽しむことも多い。また、欧米圏を中心に「インディアンカレー」の一種としても親しまれ、イギリスのインド料理店などでは定番メニューのひとつとして定着している。

日本国内でも、スパイスカレーのブームによりポークビンダルを提供する専門店や南インド料理店が増加。自家製ビネガーを用いたレシピや、クラフトビールに合うペアリング提案など、現代的なアレンジも登場している。単なる“辛いカレー”ではなく、歴史的背景や多文化融合の象徴として、食文化的な注目も集めている料理である。


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